この記事ではニューヨークの幼児教育制度と、日本の幼稚園にあたるニューヨークのプリスクールについて書いています。
私たちは渡米後すぐに娘のプリスクール探しが始まり、時間的余裕もなく納得のいくリサーチができないまま進めざるを得ない状況でした。受験が終わってから分かったこともあり、もし最初から知っていたらもっと落ち着いてやることができたのではないか思い、ここに一連の流れをまとめました。
日本 vs ニューヨークの教育システム
アメリカでは、日本のように小・中・高の振り分けが国内で統一されているわけではなく、州や地域によっても違ってくるそうです。また、ニューヨークの中でもマンハッタンは特に幼稚園や小学校の仕組みが複雑で分かりにくく、まずは日本と異なるシステムを理解するのに一苦労でした。
小学校に上がるまでの日本の教育システムとアメリカ・ニューヨーク市のシステムとの違いを大まかにまとめると下記のようになります。
年齢 | 日本 | ニューヨーク |
---|---|---|
0歳 | 保育園 | デイケア |
1歳 | 保育園 | デイケア |
2歳 | 保育園 | ・デイケア ・プリスクール |
3歳 | ・保育園 ・幼稚園 年少 | ・デイケア ・プリスクール |
4歳 | ・保育園 ・幼稚園 年中 | ・プリスクール ・Pre-K (公立) |
5歳 | ・保育園 ・幼稚園 年長 | Kinder 義務教育の始まり |
6歳 | 小学校 一年生 義務教育の始まり | Grade 1 Elementary School |
正確ではありませんが、大まかに分けるとデイケアは日本でいう保育園、プリスクールは幼稚園に近い位置付けです。
ニューヨークではPre-K(Pre-Kindergartenの略)というシステムにより4歳児から無料の教育プログラムが受けられるようになっていて、就学はKinder(Kindergarten)からになります。年齢的には幼稚園年長に当たりますが、Kinderは日本でいう幼稚園という概念ではなく、小学1年生になる前の準備期間として小学0年生的な位置付けのようで、実際に公立の小学校にKinderは併設されています。
Pre-K前の未就学児の場合、日本のように公立の幼稚園や保育施設はないため、少なくとも4歳になるまでは私立のオプションしかありません。
そのため、共働きの夫婦の場合、ナニーを雇うか私立のプリスクールに入れる、もしくはその両方という選択肢になります。
実際私の周りのアメリカ人ワーキングママたちは、ほぼみんなフルタイムでナニーを雇っていて、平日親子教室に行くとクラスの殆どの子たちの付き添いがナニーだったりします。そして、2歳になると多くの子達がプリスクールに通うようになり、毎日子供たちの送り迎えをするナニーが沢山います。
また、専業主婦のママ友も、少なくとも私の周りでは今年からプリスクールの2歳児クラスに入れる人がほとんどでした。
ニューヨーク・プリスクールとは
プログレッシブな教育方針
ニューヨークには、日本でもよく知られている教育法のモンテッソーリをはじめ、シュタイナーやレッジョ・エミリアなど、プログレッシブな教育方法を取り入れているプリスクールが多くあります。実際に娘が今年9月から通うことになっているプリスクールもレッジョ・エミリア方式の教育方法をとっていますが、こちらに来て実際に学校探しを始めるまでレッジョについて聞いたこともありませんでした。
その他宗教系の学校やインターナショナル系、語学に力を入れる学校など選択肢は豊富で、多様性に富む街に住む教育熱心なニューヨーカーたちのニーズを反映している気がします。
高い授業料
ニューヨーク、特にマンハッタンにあるプリスクールは桁外れに学費が高いです。こちらに来て、家賃や物価の高さに驚いていたのも束の間、娘のプリスクール探しを始めてからその学費の高さに夫と驚愕したのを覚えています。
私たち自宅近くにある某プリスクールは、15時までのフルタイムのプログラムの学費が年間$34,500(約370万円)!これにプラス数十万円近くの教材、おやつ代、保護者会費や、更に寄付金を募るところもあります。これは例外ではなく、学費が年間$30,000(約320万円)前後のプリスクールはマンハッタンに多くあります。
もちろん、週5の終日登校だけでなく、午前・午後の半日コースや週2~3日のパートタイムなど、多くの学校ではフレキシブルにプログラムを選べるようになっていて、それによってコストも違ってきます。また、「ファイナンシャルエイド」と呼ばれる金銭的な支援を受けられる制度もあり、必ずしも裕福な家庭の子供たちだけに限られたものではありません。
ただ、そもそもの学費の高さにおいては残念ながらマンハッタンでは当たり前のようで、現地のママたちと話していても教育費がとにかく高いとみんな声を揃えて言います。それでも人気校によっては応募数が多すぎて抽選やウェイティングリストがあるほど。
更には15時ごろには終わってしまうプリスクール。延長しても17時前後。プリスクールの高い授業料に加え、ナニーを雇い送り迎えに夕食の準備、寝かしつけまで頼む家庭も多く、金銭的負担は計り知れません。
学校選び・受験戦争??
プリスクールの入学申し込み手続きは、入学年度の約1年前、毎年9月のLabor Day直後から始まるのが一般的。私の娘がプリスクールに入学したのは2020年9月スタートの2歳児クラス。つまり2019年9月から学校見学や面接がすでに行われていて、私たちが参戦した頃には既に願書の受付を締め切っている学校もありました。
ニューヨークに越して来た当初娘はまだ1歳で、正直学校のことは全くと言っていいほど考えていませんでした。それよりも、まずは家族が新しい環境に慣れることと新居を探すことが最優先でした。
幸い到着後すぐに住まいが見つかり時間ができたため、ニューヨークの教育制度がどんなものだろうと何気なく調べてみたのが始まりでした。
リサーチし始めると、マンハッタンのプリスクール受験では熾烈な競争が繰り広げられ、子供が産まれた直後もしくは産まれる前から数千ドル払ってプロのプリスクール専門の受験コンサルタントを雇い準備を始める、といった記事をいくつか目にしました。そしてアイビーリーグ大学ならず「Baby Ivies」と呼ばれる名門プリスクールに入学さえできれば、卒業後も名門校への進学率が高まり将来安泰と信じる親たちも多いのだとか。。
これを全て鵜呑みにしたわけではありませんが、若干の焦りを感じたのも事実です。まさか1歳の時点で私立受験をさせることになるとは思ってもみなかったものの、既に2020年度の選考プロセスが始まっていたこともあり、急いで夫と話し合いをしました。
結果、その当時は私ができれば近いうちに復職したいと考えていたことと、公立を選択することができる4歳までの2年間はニューヨークならではの多様な学びの場を与えてあげたいという理由から、いざプリスクールを受験することにしました。
実際私たちが経験したプリスクール受験については「ニューヨーク・プリスクール事情 Part 2 –プリスクール受験編–」をお読みください。
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