3月22日から始まったニューヨークのロックダウン。3ヶ月が経ち、制限された環境の中で暮らすことが「ニューノーマル」として定着すると同時に、徐々に経済活動再開に向け街も活気を取り戻しつつあります。
私たちはニューヨークに越してきて5ヶ月経ったところでロックダウンが始まり自粛生活となりました。「ビフォー コロナ」のニューヨークをよく知るわけではないですが、今回のパンデミックにより明らかに今までの当たり前が当たり前でなくなり、街全体が急激に変化したのを肌で感じました。この記事ではその中でも私が感じた2つの大きな変化について書いています。
現在のニューヨーク ー ロックダウンから3ヶ月経った今
当たり前になったマスクの着用
インフルエンザも大流行していた去年の冬、周りから白い目で見られることが気になりマスクをしたくてもできませんでした。今ではマスクをしていない人は通りがかりの厳しいニューヨーカーから注意されることもしばしばです。ソーシャルディスタンスが可能でない場合マスクの着用もしくは鼻・口元を布などで覆うことが義務付けされ、お店の判断によりマスクをしていない人の入店を拒否することも可能になりました。今では街中で無料のマスクが配られ、ニューヨーカーたちはハグやキスをしなくなり、少し狭い通りですれ違う時はどちらかが道の端に寄ってもう一人が通り過ぎるのを待っています。
多くの人はマスクをつけること=自分そして周りの人を守ることと認識しているのですが、一方でマスクの着用を義務付けることは個人の自由を奪う、と頑なに拒否する人たちもいます。ニューヨーク市内は比較的リベラル派が多いせいかほとんどの人がマスクをしている印象を受けますが、トランプ率いる保守派の共和党支持者が多い他州では、マスク着用を拒む人が多く、対リベラルという政治的要素も絡み一筋縄にはいかない問題でもあるようです。
これに対し、影響力のある著名人たちもインスタなどのSNSを使い、マスクの着用は政治的な思想とは関係なく人の命を守るためのものためのもの、と思いやりのある行動を呼びかけています。
また、さすがファッションでも最先端をいくニューヨーク。可愛い柄のマスクをしてファッションを楽しむニューヨーカーたちを最近街で頻繁に見かけるようになりました。Vogueでもお洒落なマスクの特集をしています。
普段モノトーンでシンプルな服装が多いので、個人的にはカラフルなものに心惹かれます。お洒落なマスクを付けることでその日の気分がちょっとでも上がったらいいですよね。
元々マスクを付ける習慣のなかった欧米でも、パンデミックによりマスクの着用がニューノーマルになりつつあります。秋から冬にかけて第二波を心配する声も多く、マスクの着用とソーシャルディスタンスは引き続き守っていきたいと思います。
人口が減少したニューヨーク
ロックダウンが始まりしばらくすると、自宅マンション内がなんだかいつもより静かなことに気がつきました。ニュースを見ると、親の住む実家や郊外に家を借り、少なくともコロナが落ち着くまではニューヨークを離れる人が多くいたそうです。実際に私たちの住むマンションでも多くの空室が出ていました。
職を失い止むを得ずシティーを去る人も多く、アメリカの大学に通う外国人留学生は、今後もリモートラーニングが続いた場合国外退去処分になる可能性も出てきています。
ニューヨークは以前から税金と物価の高さから人口の減少が問題になっていたようですが、今回のパンデミックで人口流出に拍車がかかっています。
ロックダウン前プレイグループで集まっていたママ友たちもほとんどがニューヨークからいなくなり、マンハッタンに残ったのは2人だけになっていました。Facebookのグループでもニューヨークに残る派、残らない派の意見が交わされていて、契約途中放棄された賃貸のリースを引き継いでくれる人を探す投稿も多く見かけます。
ニューヨークを出た多くのママたちは、治安が悪くなりこの環境で子育てをしていくことに不安を感じる、家族一緒に過ごす時間が増えもっとスペースが必要になり、今までのように高い家賃やローンを支払い続けることに価値を見出せなくなった、などの理由を多くあげています。ほとんどの人がニューヨークが大好きでできれば離れたくないが、家族のことを考えたらこれがベストの選択と判断する人が多いようです。
高い家賃を払って狭い部屋に住み続けるのも、多種多様な街であるニューヨークのエネルギーやそこからもらう刺激、世界トップクラスのエンターテイメントやレストランがあるからこそで、それらが今も制限される中、アメリカン・ドリームを夢見てニューヨークに来た若い世代の流出も目立ってきているようです。
ほとんどの人は現在もリモートワークを続けており、物理的にオフィスに戻るのはまだまだ先になるようです。TwitterやFacebookでは多くの社員のリモートワークを永久的に許可するなど、物理的に特定の場所に縛られる必要がなくなった今、多くの人がライフスタイルを見直していて、残念ながら今後もニューヨークを去る人が増えていきそうです。
子供を持つ親としては、街の治安の低下や今後の教育の在り方も今急激に変化していて、多くの不安要素を抱えています。それでもこの街から人口が減り今までのような活気が失くなってしまうのではと思うととても残念な気持ちになってしまいます。
ニューヨークを舞台にした映画や海外ドラマが昔から大好きで、過去2回休暇で訪れた時はワクワクが止まらず、街を歩いているだけで楽しくて仕方がありませんでした。また、子供や犬と一緒に楽しめる環境も整っていて、とても住みやすい街だと思います。世界中から人を惹きつける魅力的なニューヨークが少しでも早く戻ってきてくれることを祈っています。
まとめ
ニューヨークの感染者のカーブは現在も下降を続けており、4段階に分けて行われる経済活動再開は、今週から第3フェーズも始まっています。
反対に現在感染者死者共に悪化している他州は多く、再度同じ道を辿らないようクオモ州知事も慎重に慎重を重ねた対応をしています。暖かい陽気と共に活気を取り戻しつつあるニューヨークですが、まだまだ油断のならない状況は続いているため、外で過ごせる時間を楽しみつつ引き続き気を引き締めて行動していきたいと思います。
コメント
コメント一覧 (1件)
今回の記事も読み易く、勉強になりました。
アメリカでマスクの着用が日常になる日が来るとは思いもよりませんでした。
政治的な思想でマスクの着用を拒むのは視点がずれていると思うものの、政治に疎い今の日本を思うと、色々と考えさせられます。
健康に十分気を付けつつ、ニューヨークでの生活を楽しんで下さい。