海外ノマド生活 – 渡米9ヶ月で早くも別れの季節到来

引っ越し続きの「ノマドライフ」を歩んできた私は、たくさんの別れを今まで経験してきました。残念ながらこれに関しては、場数を踏んだからといって決して慣れることはなく、やはり別れが訪れる度に寂しい思いをします。

NYの人口減少 – ファミリー層がどんどんいなくなる?!

以前紹介したパンデミックによるニューヨークの人口減少。街全体レベルでは正直分かりませんが、住んでいるマンションビルに空室が増えたことや、周りのママ友たちの多くがロックダウンと共にいなくなり、少なくとも個人的な限られたコミュニティーの中では、確実に人口が減っている気がします。

ファミリー層がニューヨークを離れる理由は大きく分けて2つあるようです。

まずはスペース

在宅勤務と学校の休校で家族全員家で過ごす時間が増え、特に子供が2人以上いるファミリーはNY市内のマンションだと窮屈に感じるようです。3〜4月にかけてのロックダウンでは暖かくなって来た頃だったので、散歩やジョギングをしに外に出て気分転換できましたが、秋から冬にコロナ第二波が来て再びロックダウンになった場合、真冬の中簡単に外出できなくなります。郊外の庭付きの家を借りることができればロックダウンになってもゆったりと過ごせます。

また、ナニーやデイケアなどチャイルドケアがストップし、引き続き学校の休校やリモートラーニングが続いた場合、実家近くに引っ越すことで親や親戚のサポートが得られるため、小さい子供がいる共働き家庭にとっては特にこのサポート体制が必要不可欠のようです。

もう一つは安全面の不安

公園で会う親たちと話していてもニューヨーク市内の治安の悪化を気にする人が多くいます。今回のパンデミックの影響で財政赤字となっているNY市は、警察の予算削減を発表し、益々安全面で不安を感じているファミリーが多いようです。

でも、引っ越ししたくても様々な理由でできない人や、上記を踏まえた上でそれでもニューヨークが好きでここに留まることを決めるファミリーも同時に沢山いるため、一概にどちらの選択が良い悪いとは言えません。

個々の自由、意見を大切にするアメリカ。Facebookグループの投稿を見ていても、ニューヨークを去る人留まる人、皆純粋に情報交換をしていて「No judgement」というフレーズをよく見ます。どういう選択をしたとしても人それぞれ置かれている状況が異なるし決して批判はしない、意見を尊重する。前代未聞のこの事態の中引っ越すにしろしないにしろ皆不安を抱えているのは同じなんだから助け合おうよ、そんな温かい思いが伝ってきます。

頼りにしていたママ友との別れ

そんな中、とても頼りにしているママ友(仮の名前をAmyとします)もニューヨークを去る1人となってしまいました。

数少ないママ友の中でロックダウンが始まってから唯一ニューヨークに留まった彼女とは、暖かくなってきた4月頃からお互いの家族限定で’Social Bubble’(特定の人とのみソーシャルディスタンスを気にせず交流すること)を作り、毎日公園で2ヶ月違いの娘たちを遊ばせていました。

AIを超えたママ友

Amyは元検事で今は専業主婦。生粋のニューヨーカーの彼女はとにかくスマートで情報通。プリスクールやマンハッタンの物件情報から日々の生活のあれこれなど、ニューヨーク・アメリカ生活に慣れない私にとにかく色々なことを教えてくれました。

事あるごとに夫にAmyにこれを教えてもらった、これがオススメらしいと話していたので、しまいには夫の方からも、○○について知りたいからAmyに聞いといてと言われるようになり、SiriでもAlexaでもなく、我が家では何かあると必ず’Ask Amy‘でした。

そんな彼女との出会いにはとても縁を感じるものでした。

ある日、娘をよく連れて行っていた近所の親子教室のクラス終了後、1人のママさんに、その日の午後彼女の家で数人のママ友を招いてプレイデートをするからあなたも来ない?と突然声をかけられました。そして参加したその会のメンバーの中にAmyがいました。

その時はお互い「初めまして」だったのですが、その数日後また参加したプレイデートで実は既に会ったことがあると気づいたのです。私が到着するなり彼女から、「あなた○○学校の説明会にいなかった?!私も参加してたの!」と言われびっくりしました。この学校は娘が9月から通う予定のプリスクールで、イギリス英語で担当者に質問していた私のことが珍しく覚えていたようです。そして最初のプレイグループで会った後それを思い出し、同一人物だと気づいたそう。お互いパートナーがイギリス人ということも分かり、その後は家族ぐるみで会うようになりました。

また、Amyは生まれも育ちもアメリカで完全なるアメリカ人ですが、彼女の両親は韓国系移民なので、アジア人的感覚を共有できたり価値観も似ていて、知り合ってからそれほど長くはないものの、とても信頼のできる友人になりました。

彼女がニューヨークを離れる理由

そんな彼女が両親の住むフロリダへ引っ越しを決めたのはほんの数週間前のこと。

現在2人目を妊娠中の彼女は予定日を9月初旬に控えています。ニューヨーク市から引っ越しをした多くのファミリーと同じく、家族が増えてより広いスペースが必要になることと、治安が悪化するかもしれないという不安が主な理由で、冬の期間を暖かいフロリダで過ごし、その後は恐らくニューヨークには戻らず西海岸へ移住することを考えているそうです。

9月から娘さんが通う予定だったプリスクールは、既に授業料の半分は支払済でしたが仕方なく入学をキャンセルし、実家近くの一軒家の契約交渉をあっという間に済ませ(ちなみにフロリダの家賃はマンハッタンで支払っている額の5分の1という衝撃)、引っ越し日まであと2週間となりました。

元々は同じマンハッタン内エリアでもう少し広いアパートを探す予定だったのが、妊娠・出産を控える中、悩みに悩みニューヨークから離れることが家族にとってベストという結論に至ったそうです。生まれ育った故郷であるニューヨークを離れることは寂しくて仕方がないと言っていて、彼女にとって苦渋の決断だったのだと思います。

娘同士月齢も近くまるで姉妹のように喧嘩しながらも仲良く遊ぶ姿に毎日癒されていたので、離れ離れになってしまうのはとても残念です。でもこれは彼女個人の選択。寂しくはなりますが、彼女の決断を尊重し、新天地での生活を心から応援します。

ノマドライフの宿命

プロフィールの記事にも書きましたが、私はこれまで引っ越し続き(今まで数えて23回!)のノマドライフを送ってきたため、沢山の別れを経験してきました。特に若い頃は、家族より友達との繋がりの方がある意味比重が大きかったりしますよね。毎日濃厚な時間を過ごし青春を共にした友達と別れ、新しい環境の中でまた一から友達作りをするのは子供ながらに神経を使い、ストレスを感じていたのを覚えています。

大人になってもその別れの辛さは変わりません。むしろ、大人になると若い頃よりも気の合う人と出会うことが難しく、去年日本を離れニューヨークに来た時も、今回のAmyの件も、気心知れた友人とお別れするのはとても寂しかったです。

数々の別れから得た気づき

今まで多くの引っ越しを経験してきて、学んだこと、気づいたことがいくつかあります。

積極性・度胸が身につく – 人見知りなのもあり、新しい環境に身を置く度ドキドキします。でも根本的に人が好きで、それなりに度胸もつき経験値もあるので、怖さを感じつつも積極的に人の輪の中に飛び込みことができるようになりました。

新しい出会いや刺激がある – 当たり前ですが、別れの数だけ新しい出会いもあります。異なる環境や人生の各ステージにより出会う人も様々で、その時々必要な気づきを与えてくれたり、悩みや課題を共有し一緒にそれらを乗り越える存在になってくれます。そして一度別れても、どんなに長い間連絡が途絶えたとしても、ご縁のある人とはいつかまた再会できます。

真剣に人と向き合う – 特に大人になってからは、新しい出会いや友人との再会がとても尊く、そのご縁をありがたく思うようになりました。例え近所に住んでいたとしても、皆それぞれ仕事や家族など異なるライフスタイルを持ち始めると、物理的に会える機会が少なくなったり連絡も思うように取れなくなることも多々あります。いずれ別れすることになったとしても、出会い一つ一つには意味があるので、限られた中でもその人と共有できる時間を大切にしようと思っています。

ネットさえあればいつでも繋がれる

私がイギリスに留学していた当初は、インターネットが存在する前だったので、日本の家族や友人と連絡を取る手段は文通か寮の中にあったたった一つの公衆電話。事前に決めた時間に、プレイペイドカードを使い毎週母に電話をかけていました。同じ時間帯に他の留学生の子が先に電話を使っていることもしょっちゅうで、ちょうどホームシックの時期と重なり泣きながら電話が空くのを待っていました。

あまりにも昔のことなので比べる対象にもなりませんが、今ではインターネットさえあればSNSやFaceTimeなどで物理的に会えなくなった人たちといつでも繋がることができます。

コロナにより人と人との間に物理的な距離ができた今、今まで以上にオンラインでの繋がりが濃くなったと思います。我が家も毎朝日本にいる祖父母とFaceTimeをしていて、娘も祖父母と毎日話すことをとても楽しみにしています。

また、離れて暮らす家族や友人だけでなく、普通であればなかなか出会うことが難しかった人たちとSNSで繋がることができたり、気軽にオンラインで良質な学びの場に参加することが可能になったりと、物理的な制限に縛られることなく色々な人たちとの交流ができるようになりました。

とりあえず’Ask Amy’のサービスは対面からオンラインに切り替わりますが、ネットでの人と繋がり、実際に会うことのできる人との時間の両方を大切にしていきたいと思います。

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この記事を書いた人

2019年ニューヨークに移住。海外生活21年目。海外での暮らしや子育て情報、日々の気づきを発信しています。

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